有機物リサイクル。(未熟堆肥の弊害)

以前、「好気的に完熟発酵していない堆肥を施用するとどうなるか」について述べる、としておりました。
若干日数が経ってしまいましたが。今回述べたいと思います。

一般的に、C/N比の低い堆肥は土壌中で分解しやすく、一時的に分解物としてのガス(アンモニアガスや二酸化炭素など)が増え、根の生育に障害をもたらすことがある、と述べました。
このほかに、未熟堆肥を施用した場合に想定される害として、主に次のことが考えられます。

1)未熟有機物に感染した病原菌や害虫の繁殖
植物の病気の元となる病原菌は、基本的に生きた植物の体内で繁殖します。
しかし、植物の生命活動が停止した後もしばらくは活性があります。
これらの病原菌の活性が低下しないうちに、その病原菌に罹病性のある農作物を作付けすると、そうでない場合に比べ菌密度の増加が早く、病気に感染しやすくなります。
特に、バーク(樹皮)等の木質由来の堆肥は、土中での分解が極めて遅いので、大量に投入すると病原菌が長く土中に繁殖します。
(バーク堆肥の大量投入によって、りんごやアスパラガスに感染する「紫紋羽病」というカビが発生し、産地が壊滅したケースがあります。)
害虫についても、堆肥化していない植物がそのまま残っていると、エサのある状態で生存するため、次作ですぐに繁殖してしまいます。
農園では除草に努めるなどして、害虫の繁殖場所を減らす努力をしていますが、堆肥の中身もチェックする必要があります。

2)寄生虫、病原性菌類等人間への感染リスク
最近、中国・韓国産のキムチから相次いで寄生虫の卵が見つかったというニュースが流れました。
東京都健康安全研究センターが主催した第18回衛研セミナー講演要旨のページの冒頭では、寄生虫症の復活という話題が述べられています。
また、北海道の有機農業に役立つ技術情報のページでも、有機物由来の病原菌について述べられています。


基本的に、虫や病原菌は熱に弱く、60℃~70℃の温度で菌なら30分間、虫でも1~2ヶ月程度経過すれば、大抵のものは死滅します。
しかし、家畜のふん尿や汚泥などを生で散布したり、温度上昇が不十分な堆肥を使用すると、上記の寄生虫や病原菌への感染リスクが高まります。
これらの点からも、「好気的に完熟発酵した」堆肥の使用が推奨されているのです。

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